前書き

 この物語の起こりは、ある方の「男の子ががんばる話しが読みたい」というひとことでした。その頃私は、同人誌で友人のサークルの客員として散文を書き、その他は特に公表するつもりもなく漠然と小説を書くだけ。ただ、その頃には小説らしきものを書き始めて5年は経過していたものの、完結した長編が1本しかない、成長すらしないひどいヘタレでした。
 それまでは特に文章を紡ぐという作業が面白いとも思っていなかったように記憶しています。だから成長もしていないし、人に読まれるという意識すらしていなかったように思います。
 その方に催促されながら、初めて読まれるということを意識しながら書いた物語。それがこの『ジェフティ 約束』でした。
 書き始めたのが10年前、完結は約2年後。実質頑張って取り組んでいたのは4ヶ月ほどだったでしょうか。この物語を書きながら、もう2本長編を掛け持ちで書いていたので、とても精力的に取り組んでいた期間ですね。
 おかげさまで、沢山の方に読んでいただき、長い話だったのにもかかわらず、300冊ほど販売した記録が残っています。

 なんとなく書くことから離れてしまってから数年、急に書こうかなと思ったのが、2008年の初め。その前の年から計画していたのですが、実際書き始めたのが誕生日の前後です。

 特に思い入れの強かったこの話しを、今の自分で書きたいと内容も人物も書き増やして『ケータイ小説野イチゴ』コンテンツにてUP。これが思いのほか楽しかった。書くことが楽しいと教えてくれた物語で、再び喜びを感じるのは幸せなことです。

 この話しを紐解く機会を与え、感想などいただける全ての方に心から感謝いたします。そして、あなたの貴重なお時間をこの物語に与えていただき、誠にありがとうございます。

 ぜひ最後まで、ラルフたちの冒険のラストを見届けていただけたら幸甚でございます。

                                      小津リイ

 caution

■ご注意頂く内容について
  本編には、過激ではないにしろ、一部暴力的表現や性的表現が含まれております。
  苦手な方はお気をつけくださいませ。

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 誤字脱字等の指摘も大歓迎しております。

 あらすじ

 プリスキラ大陸の東端、テルテオで少年ラルフと少女ジェフティは出会う。穏やかな村での生活の中で、二人は次第に心通わせ、ラルフはジェフティに恋をする。二人はお互いを守ると約束を交わすが、それは脆く幼い約束だった……。
 やがて、二人の下に訪れる別離のとき。二人は沢山のものを奪われ、失い、離れ離れになってしまう。しかし、幼い約束は二人の胸に残り、ラルフはジェフティを取り戻す旅に、ジェフティは運命に背きラルフを求めようと、それぞれの道を歩みだした。